日本ではみんな「ネイティブ、ネイティブ」つて言うけれど、これは正確には英語学習専門用語の「ネイティブ・スピーカー」の略ですが、今やちびっこや主婦までも頻度高く使う日本語英語です。「やっぱり子供の頃からネイティブに習わせないと」とか、知ったかぶった感じで、通っぽく言うけど、でもネイティブって聞くと、アメリカ生活のある人はネイティブ・アメリカン=先住民族のことしかまず思い浮かばないから、私はその言葉を日本で聞くたびにこんがらがるのです。「チェンジング・レーン」という映画で、サミュエル・L・ジャクソンが白人相手に言うセリフで「Iblackandnative」というのがあって、これは明らかに「黒人と先住民族」と言って、「おれらを人種差別しているのだろう」というニュアンスが含まれています。それなのに日本で言うネイティブの意味はププッ。また、私が雑誌に英文を載せると編集者が「ネイティブ・チェックが入って、この表現はあまりよくないのでこっちに変えていいですか!」と鼻息荒く電話してきます。「別に変えてもいいですが、私のだって決して間違いじゃないですよ」って言うと「でもネイティブが……」と言うその人は、自分の英語はさっぱりです。あんまりそう言われるとこっちも素直じゃなくなって、「私の英語表現なのだから私の好きな言い方でいいじゃん。でも変えたいなら変えれば」となってしまいます。明らかな間違いでないかぎり、私の日本語を変えろと言ってくる編集者はまずいないのに。私の英語は通じるから、そんなに大問題があるとは思っていないし。まわりのたくさんのノン・ネイティブ・スピーカーを見ていると内容重視の人がほとんどで、かなりの上級者でもやっぱり少しだけ誤りはあります。それは日本語だって、お国訛りがどうしても抜けないのと同じではないでしょうか。アメリカ人だって西東、南部と北部みんな違うし、移民も多いし。だから何にもわかんない人が「ネイティブはこう言うから」と言うのは「世界の中心のカッペ」と言えましょう。悪いけど、いろんなネイティブ・スピーカーがいらっしゃるので。