細かい改善策とは別に日産は、九〇年からIBAS(インテリジェント・ボディ・アンサー・システム)と呼ばれる生産技術をとり入れ、九二年中にほぼ全工場で導入される手はずだ。どの工場でも多車種少量生産をオーダーどおりにつくれるシステムで、生産技術そのものがAI(人工頭脳)エキスパートで成り立っており、いわば夢の生産技術といわれるものだ。しかもIBASは九五年から第三ステージに入るといわれており、これが完成すると、クルマをつくりながら先の品質予想までできるという画期的なものになる。試作車の出来不出来までが瞬時にわかってしまうので、要するに試作車をつくる必要がなくなる。初めからラインに流しながら試作車を完成車にしていけるわけで、いわば自立変態機能をもつ生産システムだ。これによって工場間の生産車種のシフトがいとも簡単になり、あとはプレスの型のみを運べばよいことになる。そして行き着く先はプレスそのもののフレキシブル化すら視野に入れたものになるといわれている。まさに、バブル時代が生んだ巨大設備投資の秘密兵器。トヨタの技術担当役員ですら「あれはよくできている」と注目した代物だ。しかし、それもこれも、クルマが売れるという大前提がなければ、戦艦大和よろしく無用の長物になりかねない。日産のリストラが生きるか死ぬかは、販売のリストラ如何に本当はかかっている。
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